【密輸材ラミン使用停止宣言

    Declaration of Final Trade of Ramin

 

  

 インドネシア、マレーシア等の泥炭湿地に生息するラミンは過剰な伐採により絶滅の危機に瀕して、2001年ワシントン条約(※1)で貿易が規制された以降もインドネシア国立公園や保護区等で違法伐採(※2)・密輸されていた。

インドネシアNGO Telapak、国際環境NGOのEIAは、1990年後半より希少種ラミンの保全、違法伐採の調査・告発、森林保護を行うために活動を繰り広げてきた。

 日本では1999年のTelapakの来日以降、ラミン調査会、ウータン・森と生活を考える会、FOEJapan、JATAN(熱帯林行動ネットワーク)などが中心となって、日本へ輸入・販売されるラミンの調査を行ってきた。日本は世界有数のラミン輸入国だったからでもある。

2003年11月、インドネシア・スマトラ島で違法伐採が原因で土石流が起こり、250名が死傷した。これを受けて、国際熱帯木材機関(ITTO)理事会の席で日本政府とウータンは違法材問題を通じ、ラミン停止・違法材停止の実施を話し合った。 

 

ウータン等は【やれば出来る!違法材停止・ラミンキャンペーン】として、ラミンの輸入・使用の日本企業などに働きかけた。その結果2007年4月、日本で使用量の約95%に相当する500社がラミンの輸入・取扱いを停止した。

2006年、シンガポールのラミンの輸入企業の8割も停止。TelapakEIAの活躍で、半島マレーシアのジョホール・バルのかなりの輸入企業がラミン停止した。またインドネシア政府の取組みで、主要な木材市場ではラミンの販売が困難になってきた。加えて2007年4月、EUのラミン輸入の一時停止により、密輸されるラミンの販売は世界的に一層困難になってきた。

近年の日本、EU、インドネシアをはじめとする国際的な違法伐採・違法貿易対策で、今後ラミンは1-2年でほぼ販売が不可能になるだろう。

2007年4月末、インドネシア・カリマンタンとマレーシア・サラワク州の国境ではラミンの取引がほぼなくなった。1箇所を除きこの国境で違法材の取引が激減したが、スマトラ島と半島マレーシアのルートで密輸が継続されている。私たちや多くのNGOが今後も連携・協力して、インドネシア、マレーシア政府に停止を再度依頼したり、輸入企業にラミン使用停止を働きかけていけば、全世界的な取引が完全に停止されるだろう。

 

ここに私たちは、【違法材ラミン密輸停止宣言】を発する。

 

希少種ラミンの世界的な取引停止に近づき、絶滅危惧種のオランウータン、テングザル、ギボンなど多くの動物たちも徐々に生息域を回復することができるようになるだろう。

熱帯林保全にとって大きな勝利であり、成果でもある。みんなが努力すれば必ず停止できる。

 

しかしながら現在もメルバウ、ウリンをはじめ、希少種の違法な伐採・取引が続いており、それらを完全停止していけるよう各国政府、国連、国際熱帯木材機関(ITTO)、FAO、世界銀行、NGOs、企業などにご協力をお願いする。

最後にインドネシアの多くのNGO、違法材停止・違法貿易停止に活動する世界の多くのNGO、日本で違法材停止に協力してくれたNGOの仲間、違法伐採・違法貿易をなくすためにご努力を続けていただいた日本政府、インドネシア政府を含めた各国政府のみなさま、そしてラミンの使用停止を実施していただいた日本、シンガポール、インドネシア等の企業のご協力に再度感謝したい。

 

 

2007年6月29日

   

Telapak (Indonesian Environmental NGO

EIA(Environmental Investigation Agency) -

   United Kingdom & USA,Singapore

HUTAN Group(ウータン・森と生活を考える会-Japan&  

                                                                                              Malaysia

 Ramin Research Committee(ラミン調査会)

 FoEJapan(国際環境FoEJapan

 

 

  参考

(※1)ラミンとワシントン条約

ジンチョウゲ科ラミンは加工しやすく、見た目も美しく、用途が広いので、世界各国に違法貿易されていた。2001年4月ワシントン条約保護種の付属書Ⅲに登録され、200410月に付属書Ⅱ(全世界の国で取引する際は原産地証明が必須、その他に輸出許可書、申請書、説明書、契約書、船積み証明書、輸入許可書、輸入承認書が必要)に登録された。インドネシアの輸出業者はPt.Uniseraya1社で、1年に約8000m3の搬出が同国政府より許可されているが、2001年以降もインドネシアからマレーシア、シンガポール等へ毎年5m3以上運ばれていた。2003年日本への輸入推定量は約70,000m3で、約9割近くが違法であった。インドネシア産をマレーシア産CITES証明書としたり、ラミンを似ている木材種として輸出入していた。ITTOでも39回理事会で保護の決議がされている。

 

(※2)各国の違法伐採の推定割合

   北西ロシア   27%        極東アジア  50

   インドネシア  73%        カンボジア  94

   マレーシア   約35%       ミャンマー  90

   ブラジル アマゾン流域 80%  同国パラ州 66

   ペルー     80%        カメルーン  60%      

  DataWWF “Scale of Illegal Logging around the        

 World”2004

      2004年、日本への違法材の輸入割合の推計 22-35%