Save! アマゾン ④ 

 

 

  牧場の拡大がアマゾンの森林破壊を拡大

 

  ―世界的な違法伐採と匹敵する問題だ!

 

牧場拡大で原生林破壊 (ブラジル/パラ州で 撮影*HUTAN Group西岡/1989年)
牧場拡大で原生林破壊 (ブラジル/パラ州で 撮影*HUTAN Group西岡/1989年)

  やはり米国、EU向けのハンバーガー・コネクションが問題

 

 世界最大の熱帯林アマゾン。200543日に発表された世界資源研究所(WRI)報告で、「異常な勢いで破壊されている」と述べられています。このままでは、アマゾンが100年で消えてしまうほどのピンチです!最大の要因は、ブラジルが大豆生産を拡大し、アメリカを抜いて世界一の生産・輸出国になるために行ったアマゾンの乱開発であるとも言われてきました。

 

 アマゾンの森林破壊の引き金を引いたのは、アメリカの狂牛病(BSE)の影響を受けたEU諸国のブラジル牛肉輸入の急増であり、ヨーロッパのスーパーマーケットに関連した【ハンバーガー・コネクション】が原因です。アメリカでも狂牛病発生後、ブラジル産牛肉が大量に輸入されました。

 国際林業研究センター(CIFOR)は、「大豆生産も大きな原因だが、最大の要因は牛の大牧場による侵略策だ」との報告を出しました。アメリカ、カナダのBSE、アジアの鳥インフルエンザにより、ブラジル牛肉の需要が拡大し、アマゾンの熱帯林が加速度的に破壊されました。【食肉と汚職が渦巻く】日本も他人事ではありません。

 

 アマゾンの森林破壊は、1990年代の累計面積が4150万haで、1997年から再び増加し、2000年には175万haとなりました。また年破壊面積は、1994-95年に最高となり、その後減少しましたが、2002年から再び急増しました。

 

 

 ブラジル政府国立宇宙研究所(INPE)によると、2003年の年破壊面積は250万haで、ピーク時にほぼ匹敵する面積でした。2005年はさらに増えるそうです。今まで消失した森林面積は、ドイツとポーランドを合わせた約6400万haと推計されています。

 1995-96年の調査によると、森林喪失面積の大半の原因が牧場拡大によるものでした。大豆作物面積の560万haに対して、牧場が3358万haでした。最近の大豆生産拡大で森林破壊が拡がっていますが、作付面積は490万haであるのに対して、牧場面積はその10倍となっています。

 ブラジル牛の需要は、1990年に463万頭でしたが、2002年は世界の5700万頭のうちの3分の1(約1900万頭)になりました。特に牧場面積が増加しているのは、近年森林破壊が著しい南東部のマット・グロッソと北部のパラ、ロンドニアです。

アマゾンでは、1991年まで牛肉を自給できませんでしたが、近年の都市部での所得上昇により牛肉の消費が増えました。一方輸出は、1995年で5億ドルでしたが、ブラジル通貨のレアルの切り下げもあって輸出が急増しました。輸出量は、1997年で23万トンでしたが、2003年には5倍の120万トンに増えています。

 

 また一方で、大豆生産も森林破壊を広げています。“大豆王”と呼ばれ、次期大統領候補であるマット・グロッソ州知事のマッギは、アマゾンの成長と開発を大豆中心に行うと言いました。内容は、「2007年に今の州の5倍の大豆生産量(現在のブラジル生産量に匹敵)である1億トンを目指す」というものでした。

  それに対してフィナンシャル・タイムズは、「アマゾンを犠牲にした戦略も、大多数の貧困民の解消にならず、大土地所有者のビッグビジネスを潤すだけで、世界一不平等といわれる土地配分はますます困窮になる」と警告をしています。数百万人の入植者は、開墾農業をしても一時的に生き延びれますが、賄賂や脅し等で森林消失は拡大されるだけです。「大半の土地は開墾後に大土地所有者に帰属する」とブラジル環境保護庁一員も指摘しています。

 

グリーン・ピース、M社やK社へアマゾン産の大豆輸入停止を求める

 

 国際環境NGOのグリーン・ピースは、アメリカのカーギル社やマクドナルド社にアマゾン産の大豆購入や生産の停止を要求していました。それに対してマクド社とカーギル社は、2007年7月にアマゾン産大豆の2年間の停止に合意をしました。

 アマゾンの大豆生産が森林破壊を進めていましたが、状況が少しづつ変わりつつあります。