Save! アマゾン ① 

 

地球の肺からCO2大排出源になるか?

アマゾンの熱帯雨林は全世界の熱帯雨林の30%を占め、二酸化炭素を取り込み、酸素を作りだす「地球の肺」の役割を果たしてきました。1985年から20年間、毎年四国とほぼ同じ面積の17km 2 が消失し続け、アマゾンがピンチと言われています。

1960年当時のブラジルの軍事政権は、地域への植民地化を促進するために大規模開発の支援を始め、アマゾンでは1960年代後半から森林破壊が発生しました。1960年代後半からブラジル政府は、都市の貧しい人々にアマゾンへの入植を積極的に勧め、国道BR364号線に続き、原生林を伐採して全長5,500kmに及ぶアマゾン横断道路を建設しました。1970年代にブラジル政府は、アマゾン開発を都市に集中する貧民に、「土地無き人々のために」という経済開発を提供するためのPRを行い、彼等を疎らにアマゾンへ移住させるという計画により、広大な国家の存在を確立しようとしたのです。

 

(by HUTAN Group/ Nishioka 1989年撮影)
(by HUTAN Group/ Nishioka 1989年撮影)

右の写真は、ロンドニア州の国道BR364号線と、伐採された森林です。この道路やアマゾン横断道路ができたことにより、それ以降、森林破壊が著しく進んだのです。

 入植者は土地を与えられただけですから、農地を開くための野焼きをし、養分がなくなった土地を放棄しました。一方、資産家は、アマゾン開発で投機対象として放棄された土地を牧場として開発をしました。森林の持分の50%を伐採しないという法律があるにもかかわらず、資産家や牧場主等は次々と先住民のインディオや森を守るゴム採取労働者、及び入植者たち等をアマゾンの大地から追い出したのです。

 また軍事政権は、森林減少を無視して、ダム開発、鉱山開発を広大な地域で実施し、1980年代には森林破壊が年間2万平方キロメートル以上にも達しました。 現在は、特に大規模な大豆生産農園の拡大と気候変動が大きな問題になっています。

 

Mongabay.comより 1988年-2011年のアマゾンの森林破壊
Mongabay.comより 1988年-2011年のアマゾンの森林破壊

 

近年、アマゾンの熱帯雨林消失ペースは監視史上、最低に!

 

 2011年125日、ブラジル国立宇宙研究所(INPE)は世界最大の熱帯雨林アマゾンの減少速度が監視を開始して以来、最も遅くなったと同年6日に AFP等に発表しました。INPEのジルベルト・カマラ(Gilberto Camara)所長は記者会見で、ブラジル国内のアマゾン熱帯林について、「20108月~20117月までの1年間の消失面積は6238平方キロだった」ことを明らかにしました。また「消失面積は前年よりも11%少なく、1988年にINPEがアマゾンの監視を始めて以来、消失率は最低だった」と発表しました。
 アロイジオ・メルカダンテ(
Aloizio Mercadante)科学技術相は、「ブラジルにとって偉大な勝利だ」と述べ、「アマゾンの熱帯雨林は、炭素吸収のための非常に優れた装置であり、地球温暖化と戦う武器のひとつだ」と語ったのです。しかし、国営通信アジェンシア・ブラジル(Agencia Brasil)によると、消失面積はブラジル最大の都市リオデジャネイロの4倍に相当すると発表しました。
 アマゾン熱帯林の1年間の消失面積が最大となったのは1995年で、2番目の200304年の間に、27700平方キロが失われました。しかし、20098月~20107月には消失面積が最少となったのです。しかし危機は今も続いています。

 WWF2007126日、森林破壊と気候変動によって2030年までに、アマゾンの熱帯林の最大60%が破壊され、世界各地に連鎖的な影響を及ぼすと警告する報告書を発表しました。WWF報告書は、第13回締約国会議バリ(COP13)で発表され、世界の主要な二酸化炭素(CO2)吸収源のひとつであるアマゾンが、気温上昇によって干ばつの危機にさらされており、森林破壊は「地球の肺」であるアマゾン一帯に深刻な被害をもたらしかねないと警鐘を鳴らしました。同報告書は、アマゾンの森林破壊の影響で、2030年までに大気中に排出される二酸化炭素の量は、555億トンから969億トンに増える恐れがあると指摘しています。

アマゾン・ロンドニア州での牧場開発のための野焼き1989年
アマゾン・ロンドニア州での牧場開発のための野焼き1989年
2001年
2001年

 右の映像は、NASAからのアマゾンの森林破壊=BR364(サンパウローポートベリヨ間の国道・アマゾン南北道路)ができ、破壊が広範になった状況を現しています。 牧場開発が大半でしたが、最近は異なります。

2009年 BR364号線
2009年 BR364号線

気候変動とアマゾンの森林破壊

 

広大な熱帯林がCO2の排出源となるのか? 止めよう巨大開発!

 

 英国とブラジルの国際研究チームは、201123日、「昨年の南米アマゾン熱帯林地帯の干ばつが及ぼした環境被害は、『100年に一度』といわれた2005年以上に深刻で、米国の一年間の温室効果ガス排出量以上の温暖化効果を及ぼす」との調査論文を科学誌サイエンスに発表しました。同論文は、「2005年や2010年のように深刻な干ばつが今後も頻発し、世界最大のアマゾンの熱帯雨林は二酸化炭素(CO2)を吸収するどころか逆に放出をして、世界の温暖化を加速しかねない。世界の森林は成長するにつれて、CO2を吸収し、地球を冷やす効果があるが、森林が枯れて腐ると逆にCO2を放出する」と述べています。

 

 論文の主要執筆者の英リーズ大学の生態学者サイモン・ルイス氏はロイター通信に対し、「干ばつがしばしば発生すれば、アマゾンの熱帯林はCO2吸収源から排出源に転化してしまうだろう」と述べました。調査論文によると「2010年の干ばつの結果、アマゾン熱帯雨林の116万平方マイル(300万平方キロ)で降雨不足となり、2005年の干ばつ時の734000平方マイル(190万平方キロ)を大幅に上回っており、2005年に死に絶えた森林がアマゾン南西部だけで集中したのに対して、2010年は3つの広い地域で森林が死に絶えた」と指摘しています。

 

 今からアマゾンを守れるかどうかは、どれだけ開発計画をやめ、違法伐採や大豆プランテーション開発、そして牧場・鉱山開発を阻止できるかにかかっています。

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