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森林破壊の原因
牧場・違法伐採・ダム・大豆農園大開発の停止を!
アマゾンでは1970年代末、ブラジル政府が、税制上の優遇措置を地主に与えたため、熱帯雨林が広範囲にわたって開拓されました。 例えば、アマゾン川の中流域の都市マナウスは、「マナウス自由ゾーン」として知られているエリアで、政府は開発地区の森林の50%を保護しなければならないとしました。しかし、実行はされなかったのです。
米国、EUへの輸出牛=牧場開発がアマゾン破壊の大きな原因
ブラジルでは、1966~1975年に大規模な牛の牧場経営のために、アマゾンの38%もの森林が伐採されました。牧場経営は、ラテンアメリカの最も悪い森林伐採の方法です。森林を皆伐して牧場を開くと、開発者や入植者は土地の権利を得ます。牧場開発は、皆伐や火をつけて森を壊す等のとても低い経費で済み、牛を高く売買できる市場に運ぶだけで、容易にもたらされる流動資産と考えられています。さらに牛は、野生の変動価格となり、低リスクの投資とも考えられています。裕福な地主と投機家によって、土地や森は自然な生産的な財産から登記・売買の対象に変化します。牧草地の価格が本当の森林地帯の価格(1993年のブラジルの2,500%) を越え、牧場は登記物件とされているのです。牛は大半が米国、EU向けに輸出されます。
次にダム開発は、水の生態系を破壊し、土地を取り上げられ移住させられた先住民に被害を及ぼし、沈んだ木材が腐敗して二酸化炭素やメタンが大気中に大量に放出される等の影響があります。また、多くのダム・プロジェクトによる森林伐採に起因して土壌が流れ、浸食や沈泥で川がふさがり、ダムを非能率にします。大規模ダムで生み出された電力は、主に鉱業開発や工場、都市電力に利用され、移住させられたインディオや移民にとって、何一つ恩恵がありません。
右の写真はダム建設に反対する先住民インディオが、ブラジル電力会社に怒っている1988年のシーン(雑誌の一部分を写真取りしたもの)です。アマゾン横断道路建設が始まった頃は、まだかなりの森が残っていました。
下の図1は、1970年代後半のアマゾンの森林の状態です。多くの原生林の森がありました。
図2 アマゾンの地域別の森林破壊
1980年~2005年にかけてのアマゾンの森林破壊は、パラ、マット・グロッソ州での破壊が最も多く、1990年以降、両州に加えてロンドニア州での開発が輪をかけていました。牧場開発、鉱山・ダム開発に加えて、大豆農園の開発が巨大化していきました。
下の図3は、アマゾン・パラ州における1993年から2010年までの森林の時間的変遷(©JAXA)を示すもので、左から画像、森林・非森林、森林変化であり、赤が森林減少、薄緑が森林再生を表します。
図3
特に、牧場開発と大豆開発がアマゾンを破壊する!
1995-96年の調査によると、森林喪失面積の大半の原因が牧場拡大による森林破壊が原因でした。大豆作物面積560万haに対し、牧場が3358万ha。最近の大豆生産拡大で森林破壊が拡がり、作付面積は490万haで、牧場面積はその10倍となりました。
ブラジル牛の増加は1990年に463万頭でしたが、2002年は世界の3分の1(5700万頭のうち約1900万頭)がアマゾンで生産されました。特に、近年、南東部のマット・グロッソと北部パラ、ロンドニアで森林破壊が著しく集中しています。
アマゾンでは1991年まで牛肉を自給できなかったのですが、近年、都市部の所得が上ったために、牛肉消費が増えました。一方輸出は1995年で5億ドルとなり、ブラジル通貨レアル切り下げもあって急増しました。国内消費は1997年の23万トンが、2003年には5倍の120万トンに増えています。
大豆生産も森林破壊を広げています。マット・グロッソ州知事は、「2007年に今の5倍の大豆生産量(現在のブラジルの生産量に匹敵)1億トンを目指す」と言いました。2000年当時、ブラジルでの違法伐採は森林破壊の7割以上でした。
「大金持ちはブラジルでは働かない。何もしなくても金が転がり込む。貧乏人はずっと貧乏人ですよ。だからブラジルは変わらないし、インディオや我々のような入植して森を守る人たちが迫害されているの」と1989年、イルザマール・メンデスさんがインタビューに答えて言いました。(1989年5月12日、シャプリのメンデス記念館で by HUTAN Group/Nishioka)
彼女の夫はシコ・メンデス。彼は森を守るゴム労働組合を立ち上げ、アマゾンを守っていましたが、1988年に牧場主の子分に射殺されたのです。イルザマールさんに聞けば、裁判にかけられても、お金を積めば大半が裁判もされずに、無罪放免になるとのことでした。
1980年代から1992年のリオ・サミットまで森林保護に活動する人々は、常に迫害されたり、射殺され、保護活動が出来ませんでした。サミットの2~3年後には大豆生産が図4のように拡大し、森林破壊が拡がっていったのです。
このようにして、アマゾンは大きく破壊され、生態系が壊れ、火災が起きやすくなったために、気候変動が心配されます。下図は近年の火災等の気候変動の図です。 現在、とりわけ心配しなければならないのが、気候変動により森林状況が更に悪化して、森林が枯れることにより、今度はアマゾンがCO2の大排出源になってしまうということです(図5)。
本当?―大手畜産企業、アマゾンの森林破壊ゼロ化を目指す
Rhett A. Butler, jp.mongabay. Translator: Maki Ikeda 03-06-2010
グリーンピースは、ブラジル食肉輸出業者協会(ABIEC)とのサンパウロでの会合後、「ブラジルの畜産会社は、アマゾンのサプライチェーンのマップ化を進めているが、目標として掲げた森林破壊のゼロ化はまだ達成できていない」との報告を行いました。
ブラジルの大手畜産業者は2009年10月、森林破壊ゼロ合意に署名しました。世界のトップブランドで使われる畜産品がアマゾンの森林破壊に関係しているとのグリーンピースの報告を受け、消費者の反対運動が高まったためです。この合意により、企業は2010年4月1日までにアマゾンから処理工場へ家畜を直接供給している農場をすべて登録し、マップ化することを約束していました。この登録制度が実現すれば、消費者は畜産品がアマゾンの森林破壊の産物ではないと確認できるようになるはずでした。
しかし先の会合では、こうした約束を果たしている大手牛肉業者は一つもなかったのです。また大手牛肉業者のマーフリッグ社とミネルバ社は、いずれも3ヶ月の期限延長を求めました。
「マーフリッグ社の報告では、アマゾンで活動する同社サプライヤーの80%は登録済みであるものの、農場の正確なマップ化はまだ行われていない」とグリーンピースはウェブサイト上で伝えています。しかし、マーフリッグ社とミネルバ社はいずれも「サプライチェーンの透明化に関心があると改めて明言した」とも報告されています。
グリーンピースはまた、世界最大の食肉処理工場で、かってはABIECメンバーだったJBS社とも会談をしました。JBS社は2010年4月末までに同社のアマゾン産品の80%をマップ化すると述べ、3ヶ月の期限延長を要請しました。 4月の期限は家畜の直接サプライヤーについてのみ適用されます。間接的サプライヤーのマップ化と登録については2011年11月までに行うと、同社は約束をしました。
グリーンピースによれば、家畜の飼育を目的とした森林破壊は、現在一時停止期間中であるにも関わらず、依然として行われています。2009年10月から2010年1月の間に140平方キロの森林が、「これらの食肉処理工場の直接的影響下にある地域」で破壊されました。これは同時期に進んだ森林破壊全体の40%にあたる規模です。
また畜産業は、ブラジルのアマゾンにおける森林破壊の最大の要因となっています。近年、森林伐採地の約80%が農場に転換されました。ブラジルでは畜産業が温室効果ガス排出の最大の源となっています。
ブラジルは現在、世界最大の牛肉生産・輸出国であり、アマゾンの牛の頭数は米国全体の牛の頭数にほぼ匹敵しています。