希望の村の苗作りをボルネオ全土に伝えたい-原生の種による植林用の冊子作りー④  NGOとの話し合いin ボゴール、ジャカルタ -BOSF,Walhi,Wetland Indone

 

Issy:数年前より、ウータングループはタンジュンプティン国立公園の森林保全および、そこにあるタンジュンハラパン村の発展の支援をFNPFとともに しています。彼は、FNPFメンバーのバスキで、2年前から、村で苗作りの支援をしています。その苗は、公園内の種を拾ってきて作っています。すなわち原 生種の苗なのです。その苗を他のNGO,政府、企業、ツーリストなどに売ることによって、副収入(Altanative income)を得ることができます。いま活動は徐々に広がり、村人による苗作りグループもでき、彼らは自分たちの家で苗を作るようになっています。ウー タングループはこの活動に賛同し、苗作りの支援やその苗の植林活動を支援してきました。そして、この活動を他の地域、他の村にも伝えたいと思い、植林用の 冊子を作ることにしました。今年、助成金を使うことができます。みなさんにはこの冊子作りに対しての協力すなわち、アイデアの提供や冊子の広報などを手 伝っていただきたく訪問いたしました。

 

 

A.テラパック(Telapak)

HAPSOLOさん(かつて日本に来たこともある)

 2ヶ月前から東カリマンタンで同じようにMuara Tae村で活動している。20年前に大きな森だったこの土地もパームオイルプランテーションと砂金取りの波に飲み込まれた。地方政府は警察と手を組んでい て何もしない。
 この植林用冊子の問題点は、これだけ渡したところで、村人の反応は「OK、たくさんNGOが来てお金を渡してくれるのかい?」 としかならないだろう。冊子だけではなく、何度もそれを使って活動を促進し、広めていかなければならない。かつてNGOがステッカー、Tシャツ、いろいろ なものを作ったが、すべてNiceStoryで終わってしまっている。人々を変えるにはいたっていない。

 FNPFが成功しているのは、いつも現地の人のそばにいるからだ。ジャカルタにいて同じことはできない。昔、Telapakの戦略は、学生や街の若者を 連れて行くことだった。今は、現地の人にTelapakとしての仕事を現地でしてもらっている。活動を成功させるには現地の人に参加してもらうしかない。

ALEXさん(イラストレーションなどを担当)

 漫画ではなく、セミコミック、つまりポスターに説明書きがしているようなものがおすすめだ。漫画では、一つのストーリーにメッセージは3,4つしか載せ られない。しかし、ポスターの形なら、一つのページに一つのメッセージが載せられる。20ページ分なら20個だ。たとえば、わかりやすい植林や苗作りのイ メージをイラストで大きく描き、その横に大きなタイトル、その下に人々がどんな活動をしているのかを説明する。また、漫画は子どもたちは好きだが、年配の 人は好きじゃない場合がある。
 このプランに非常に興味がある。6月くらいなら暇もあるからぜひ声をかけてくれ。どんな内容にするか、どれくらいの長さにするかの話し合いが必要だ。9 月くらいに完成だとすればオッケーだ。Telapakは非常に多くの情報を持っているから作りやすい。
 作るにあたっては、ぜひカリマンタン現地へ行って、生の情報を集めたい。タンジュンハラパンの村の人々にインタビューがしたいな。
 冊子には、村の人々のディティールを描いてあげるといい。農業でも、カヌーでも、「これは俺の家だ!」「お前がここに載ってるぞ!」それは彼らが冊子作 りに参加していることを自覚できるとともに、大きな自信につながる。
 
 バスキは非常にALEXの話に同意したとともに、ぜひ彼をタンジュンハラパン村につれていき、彼に描いて欲しいというようなことを言った。 Telapacとの話し合いで非常に心に残ったのは、冊子のようなグッズを作るだけでは意味がなく、それを使っていくことが重要で、その際に現地の人に参 加してもらう以外に成功はないだろうということだ。

 


B. BOSF(ボルネオ・オランウータン・サバイバル・ファンデーション)

Toguさん(BOSF、CEO、前林業大臣相談役)、

Emiliaさん(広報を担当)

 

去年、名古屋のCOP10にウータンゲストとして参加

Togu
 とてもいいことだ。問題は場所によって、非常に苗の種類や植林方法も違うことだが、集中させるべきだ。たとえば、タンジュンハラパン村の成功例を一箇所 紹介する。その後、それを広げていくべきだ。
Emilia
 本当に人々が読むかが大事。20ページでは多すぎる。人々が退屈しないためには、8ページくらいがベスト。シンプルメディア、シンプルトレーニングが必 要。あなたがお土産にくれたフォトブックがとてもいいじゃない、なぜこんな風にしないの?村の紹介くらいでいいのではないかしら。
Togu
 現地の人々は、知恵を持っており、すでに植林などのやり方を知っている。重要なのは、これが収入につながることを知ること、どうやって売るのか、どう やってコマーシャルするのかを伝えること。この冊子の一番いいところは、自分たちを紹介し、収入につながることを紹介できることだろう。
 内容としては、ポスターとブックレットのコンビネーションがいい。8ページくらいの写真集のような。言葉が少なくて、イラストを入れる。
Emilia
 私からのアドバイスは、ターゲットをしぼりなさい、ということ。たくさん書きすぎてはだめ。原生種はいくつもある。タンジュンプティンで一番人気なのは どれ?
Togu
 バスキが推奨するものも大事だが、ボルネオ全体では、マランティー、ソリアなどが有名だ。よく知られているものを扱うことも必要。
 配る相手のターゲットはどうする? 現地の村人、そのなかでも若い人でインフォーマルリーダーがいいだろう。小さい子はだめだ。一つの家族に一つ、夫婦 で別々にあげてはいけないよ。誰にあげるかはよく考えることだ。
Issy
 ウータングループとしては、ハイクラスであるToguに政府や大きなファンドに声をかけることができることを期待している。
Togu 
 UNEPなどはただのドネーションだ。声はかけれるがあまり期待しないように。
どこがいいかというと重要なのは、地方政府。この場合、中央カリマンタンの政府だ。
 それから、林業省がいい。BOSFはもちろん、ForestWatch(トグが昔代表を務めた)は私から声をかけよう。もちろん、Wetland IndonesiaやTelapacも重要だ。Issyが言うとおり、FNPFのようなローカルNGOにも声をかけたらいい。
 

Emilia
 ところで、このウータンの絵をBOSFのTシャツのデザインに使いたいのだけど、MrNishiokaの娘さんに聞いてくれないかしら?

 BOSFは、インタビューしたインドネシアNGOの中で、一番規模が大きく、もっとも欧米的な印象を受けた。アメリカで博士号を取得したToguさんや Emiliaさんは非常に合理的で戦略的な考え方をする。びしばし質問を浴びせてくる彼らだが、インタビューの後は非常にフレンドリーで、ウータンメンバーに Tシャツをお土産にくれた。一番心に残った言葉は、ターゲットを絞りなさいというアドバイスだ。

 

C. Wetland International Indonesia

 (ウェットランド・インターナショナル・インドネシア)

 

Nyoman 事務局長、2年前に日本でBasuki,Toguと共に講演)

 

 問題点がいくつかある。


1に、ターゲットは誰か。

         子どもに伝えたいのか、役人に伝えたいのか?

2に、言語はどうするか?これが非常に重要だ。Malay語、Kutai語、Dayak語、

          Banjar語。インドネシア語なら、それが読める人にしか伝わらない。

3に、どういうキャラクターにするか?ダヤック族なら、そのようなキャラクターにしなけ

          ればならない。もしくはユニバーサルな設定にするのか。

4に、テラパックが言ったように東カリマンタンの村は非常に遠い。彼らが、植林と苗

          作りと売ることに興味を持っても、売りにいくことができなければ意味がない。

5に、それをどうやって使うか?内容がよくても彼らに使うことができるだろうか?

6に、ターゲットを絞るべきだ。すべてのカリマンタンをターゲットにするならいくら冊子

          があっても足りない。

7に、ボルネオ島はほとんどの土地(約5億ヘクタール)がピートランドだ。

 

Nyomanは、博識で、現地のことも良く知っている偉大な人物だが、いつもフレンドリーだ。今回も家に泊めてくれた。非常に懐の深いパパのような存在。


 

D. Walhi(Friend of the Earth Indonesia)

Berryさん(事務局長、たびたび来日)

 いいアイデアだと思う。バスキの森林、コミュニティーでの体験を語る。インドネシアには伝統的な知恵(traditional wisdom)があるし、特性(charactor)もある。冊子を通じ、人々をつないだり、モチベーションをあげることが大事。コミュニティーに根付い たマネジメントをすべきだ。
 大事なことは、まずターゲットを決める。子どもなのか中級階級なのか、もっと上なのか。どれだけ影響を与えられるかから判断しなさい。
 たとえば、現地の人々(ローカルピープル)をターゲットにする。ローカルピープルは地方政府(ローカルガバメント)の考えを変えることができる。少しず つだが。バスキたちの活動で、どうコミュニティーが変わっていったかをたくさんのローカルコミュニティーに伝える。それが自動的にローカルガバメントを変 えるインパクトになる。たくさんのコミュニティー、村が、森林再生や原生の種の植林をすれば、かならず影響を与える。

 

Walhiは、アチェ、パプア、ランポンなどの27の事務所と100人を超えるメンバーをはじめ、ほとんどのローカルNGOにこの冊子を紹介できる。た とえば、地域コミュニティーでの森林保全をしているSHKなど。いろんなところに配ってあげよう。
 理想的なことは各コミュニティーが持つ情報や体験や知識をブックレットを通して、交換すること。そのためにたくさんのコミュニティーに配ってあげよう

Walhiは1980年にスタート。1.モノカルチャー 2.マイニング 3.海と珊瑚 4.水と食料 5.気候変動 が主なテーマで、キャンペーン活動 や政策提言をローカルガバメントやナショナルガバメントに行っている。森に関しては、私たちは、アグロフォレストリー、植林、小規模水力発電などの活動を している。

Berryさんは自然に対する知識が豊富、バスキもとてもよいミーティングだったと言っていた。収穫は、たくさんの事務所とローカルNGOとつながりを持つ彼 らが協力してくれると言ったこと。ローカルピープルを変えていくことがローカルガバメントを変えることだということと、地域・村同士をつなぐことがとても パワフルな結果をだせるだろうと力強い言葉を聞いた。