ボルネオで今何が起きているか~自然破壊の現状

パームオイルプランテーションの拡大

オランウータンが棲み、豊かな自然の中で人々が暮らす島、ボルネオのこと、知ってもらえたでしょうか。しかし、その豊かな自然は今も刻々と破壊されていることを知っていますか?飛行機に乗ってボルネオ島へ向かう。そこから見えるはずの景色が何やらおかしいことにすぐに気付く人もいるでしょう。

 

今、ボルネオで最も深刻な自然破壊、それがパームオイルプランテーションの拡大なのです。この写真は飛行機から見た景色ですが、奥のほうに広がる豊かな緑と対照的に、削り取られた土地に均等に植えられた何かがみえるでしょう。それがアブラヤシです。今、日本の国土の二倍の面積を誇るボルネオ島のいたるところでこのような景色が見られます。

 

Photo by Tomoo.A @MY ticket

これが何かわかりますか?これはアブラヤシの実です。アブラヤシは西 フリカを原産とするヤシの一種。これから採れるのがパームオイルという油で、これを採るためのプランテーションが今、ボルネオ島をはじめとするインドネシア、マレーシアの土地に広がっています。

 

「ギニアアブラヤシは1900年代初頭に マトラ島レー半島に持ち込まれ、現在でも広大なランテーションが多く存在している。特にレーシア全体でアブラヤシのプランテーションは約20000平方kmに達し、1995年には世界の生産量の 51%を占めた。(注:インドネシアも含めると、約85%)一方、プランテーションの拡大は天然の 帯雨林を焼き払って進められたため、著しい環境破壊を招き、この地域での主要な 境問題となっていると同時に、主要な基幹産業となっている。」とwikipediaにあります。

 

 

また、大規模プランテーションで働く人々は、比較的高い収入が得られるとはいえ、長時間の労働に従事し、毎日たくさんの農薬を散布したりするなど、健康面での影響も心配されます。プランテーションから流れ出す汚水は川へ流れ、「ボルネオってどんなところ?」で紹介した子どもたちへも影響があるかもしれません。もともと豊富な水分を含んでいたボルネオの土地は、プランテーションを作るために引いた水路から水が流れ出し、からからに乾きます。そのために火事が起こりやすくなります。一方、水路から流れ出た水は下流で洪水を引き起こします。

 

 

 

 

 

 これがアブラヤシの写真です。(提供:Masato Takeda @ Tennoji Zoo

でも、アブラヤシって一体なに?パームオイル?そんなもの見たことも聞いたことも当然使ったこともないよ!っていうかもしれません

それでは、この写真はどうでしょう?

 

みなさんおなじみのものではありませんか?子どもも大好きなスナック菓子やアイスクリーム、それから石鹸・洗剤、化粧品など、たくさんの用途に使われていて、もちろん日本でもたくさん使われています(食用油が80%~90%)。日本人が一年間に使用するといわれているパームオイルの量は約3.5kgと言われ、年間10㎡分の森林を食べていることになるのです。

 

スナック菓子の袋の裏側をよくみると、植物油脂や食用油と書かれています。これがパームオイルです。実は、私たちが普段から口にすることの多いお菓子が、実は森を破壊する原因にもなっていたわけですね。

 

いま、パームオイルを使わない石鹸を売り出している企業や、持続可能なパームオイルの円卓会議(RSPO)による認証を受けたパームオイルを使用している製品、売り上げの一部を森を守る活動に還元している企業などが出てきています。そういった環境に配慮した消費活動をすることをグリーン購入といいますが、「見えない油」と言われるパームオイルのような遠い国の製品のグリーン購入にまで目を向けたいものです。

 

みなさんも美しいボルネオの自然を残すため、自分がどのようなものを買い、消費しているかを一時の間でいいので、考えてみてはいかがでしょうか。

解決策を紹介しましょう!→ 希望の村の苗作りをボルネオ全土に伝えたい

                   1.タンジュンハラパン村での苗作りでの村おこし へ続く