国産材フェアウッドの利用を

 

 

 

1、40―50年樹齢期の日本の森林と林業の問題

    日本の状況を見ると、現在2500haの森があるが、うち人工林が1000haを越える。蓄材量はこれらの人工林が戦後1950年過ぎに植林されたものが多く、樹齢40-50の森が全体の35%をしめ、平成になって伐採・植林が更にされていないので、今後2020年には伐期に至った40-50年の森林が6割に達すると、林野庁は推測している。また10年後の2020年、国内の森林が吸収するCO2量が約1千万トンになると試算し、京都議定書の第1約束期間(08-12年)の上限値1300万トン炭素トンを2割近く下回り、吸収源対策としても国産材活用が急務の事態になっている。そのため新規の若年(15-20年まで、杉なら20年がピーク)の植林をすればCO2の吸収量が多く、今の森林の間伐・造林が必要となる。

森林のCO2吸収源問題だが、まず都市内での浪費エネルギーを減らすことであり、杉・檜のみの単一植林にすれば多様な生態系に望ましくなく、水害・地滑りなど災害にも弱く、広葉樹をまぜて本来の自然植生の樹木を植える複層林にしていくべきだろう。

 

現在、国産材活用は、労働者の高齢化、価格が据え置かれたり下落している為、積極的に伐採せず日本の森が成長して既に伐期を迎えているが放置されている。このままでは杉・檜などの人工林の大半が「素敵な森が立ち枯れ」しようとしている。このままでは「日本の今の森が死んでしまう」!

    2001年からウータンで違法材排除・国産材有効活用をあげ、2002年から各県ヒアリングをした。岩手県では国産材活用につき公正取引委員会から「Domestic Wood(国産材)認証はWTOに抵触する」と言われ混乱していた。私たちは「Domestic Wood認証があかんと公正取引委員会が言い続けるなら問題化する。それなら岩手県は〈地方材〉として売り出せば良い」とアドバイス。その後同県は「岩手県産材」として日本国内に販売し出した。2009には宮崎県産材、2010には青森県産材を中国に輸出し出した。

    だが全国的な問題は、①林家の林業継続意欲の減少、

②杉の伐採収入は造林経費の半分以下の経営難、  ③造林・育林価格の低減、

④伐採・間伐が滞り技術の停態、    ⑤林道整備も林業機械の設備投資が莫大な経費、

⑥補助金に頼りすぎた林家経営感覚、    ⑦未利用材の有効活用の怠り、

⑧情報の未収集と市場の未開拓から繋がる販売意識の低さ、

⑨事業拡大意識の低さと販路拡大の無さ、  

⑩外材との競合も考慮しての適正な製品価格の見極め、

10年先を考えての安定供給と各戸への情報伝達などだ。

 林家は発想の転換を持ち、殿様商売でなく自らも経営を試み、情報収集の努力を図るべきで、市場開拓を国産材企業と共に実践することが大切だ。このまま[待ちの姿勢]なら、更に労働力の高齢化・技術の未伝達から山を放置してしまうだろう。

    だが今、千載一遇のビジネス・チャンスなのだ。違法材問題で販売環境は国産材が優位に立ち、少し損しても将来が開ける試みや林業復活の実践をすれば、この意欲減退・林業停滞・採算悪化・有効利用無の環境を変えられる可能性が高いのだ。