【違法伐採・違法材取引の停止】2

―《STOP! Illegal Logging, Illegal Timber Trade》

  

2、ボルネオ島で違法伐採が続けば

  

かつて南米アマゾンとともに「地球の肺」と呼ばれたインドネシアのボルネオ島(:カリマンタン島)では、違法な森林伐採が熱帯雨林( by WWF Germany)を破壊し、生態系を壊滅の瀬戸際に追いやっている。 


 ITTO(国際熱帯木材機関)は、2007年の報告で、世界の熱帯林は95%が危機的状況にあり、保全しなければ取り返しがつかないと指摘する。    


また2004年213日号の『サイエンス』誌に掲載されたイェール大学リサ・カラン準教授による新たな報告で、ボルネオ島では伐採用に確保されていた熱帯林のうち95%がすでに切り払われてしまっただけでなく、国立公園として保護されているはずの森林でも約60%が違法に伐採されているという。

イェール大学熱帯資源研究所の所長でもあるカラン準教授によれば、現在のペースで森林破壊が続くと、テキサス州と同じ大きさのボルネオ島から、あと3年で完全に熱帯雨林が消えてしまうという。そんな事態になれば、野生生物や現地に住む人々、さらには地域の気象パターンにも甚大な影響を及ぼすことになる。 現在でも、マレーグマやサイチョウ、ヒゲイノシシ、オランウータンといった動物は、急速に絶滅危惧種になりつつあると。「動物たちが危機に瀕しているのは明らかだ。西ボルネオのグヌン・パルン国立公園では、これから数年のうちにオランウータンの個体数が2/3に減少するだろう」と同氏は指摘する。 

 

 ボルネオ島は生物多様性に富む島であり、2007年にも哺乳類の新種も発見されている。


 違法伐採された木材は合板に加工され、アジアの他の地域へ輸出されている。インドネシアからマレーシア、シンガポール、ベトナム、中国、台湾、日本や欧米の市場に向けた家具の製造にも使われている。ボルネオ島の貴重な原生林から採れるメランティー材(フィリピン産のラワンも同)も、家具材、合板材、床材や高級の内装材にも使われる。

過去20年間にボルネオ島で伐採された木材の量は、中南米とアフリカから輸出された熱帯の木材をすべて合わせた量を上回る。輸出が最高だった1990年代半ばには、木材産業は年間90億ドル規模に達していた。だが今や、合法的に伐採できる森林はほとんど残っていない。インドネシアの木材生産量のうち約70%が違法な伐採によるものだった。


違法貿易の地点
違法貿易の地点

2000年からのインドネシアNGOの多くの取組み・告発・調査等でインドネシア政府も動き出す。2007年頃からのインドネシア政府の違法材への取組みによって、違法な木材密輸が次々と摘発され、西カリマンタンからマレーシア・サラワク州への最大の密輸ルートで運搬は出来ず、2009年8月から現在まで密輸量が0㎥だ。 東カリマンタンからマレーシア・サバ州へも最盛期の2004年の150万㎥から15万㎥弱に激減した。

 2010年5月27日、インドネシアのユドヨノ大統領は2年間の森林伐採のモラトリアム(一時凍結)を、気候変動問題の首脳会議で表明した。政府がやる気をだし、NGOsサポートすれば、違法伐採や違法貿易を大幅に縮小できるのだ。

 

 

  

    密輸ルート

    1、西カリマンタンーサラワクで密輸材取引

           ・・2005年まで約100ヶ所→現在10-15箇所?

        2、東カリマンタンーサバで密輸材取引

             ・・約50箇所→5-7箇所?

  

 *今までの密輸材取引は、海沿いと税関が中心であった。西カリマンタン-サラワクではポンティアナク-サンバス(西カリ-セマタン(サラワク)-クチン。サバ-東カリマンタンはタラカン-スブク-ヌヌカン(東カリ)-タワウ(サバ)。ところが2006年よりインドネシア政府、軍の取り締まりで違法材取引が激減し、現在西カリマンタン側ではマレーシアTa Ann Group, RH(リングナン・ヒジャウ社)等サラワク州のボスがインドネシア側のBetung Kerihun(バツン・ケリフン)国立公園で違法伐採している。Yayasan Titianの報告だ。    

 

西カリマンタン国立公園で伐採するサラワク州企業
西カリマンタン国立公園で伐採するサラワク州企業
インドネシアからサバに運ばれた丸太(2009年)
インドネシアからサバに運ばれた丸太(2009年)

 

     *一方の東カリマンタン-サバ州タワウではタワウ市内のカラバカン製材所等数社が操業停止を2008年末からであるが、サバ州政府と関連するAtumaju(アトマジュ)製材所は20095月調査で、東カリマンタンからまだ丸太を輸入して、その材をタワウ最大のFニャップ製材所へ運び、輸出しているようだ。中国、韓国、日本等へ販売。

  

違法材を摘発したインドネシア軍
違法材を摘発したインドネシア軍

  

   サバ州の最大の輸出先は中国、サラワクは以前まで中国であったが2010年にはインド中国が拮抗した輸出先である。

Sabah is the fact that log ponds in China are allegedly filled with an unsold stock of 700,000 m3 of hardwood logs, much of which originated from Indonesia. BATS members, based in Tawau just over the border from East Kalimantan, participate in this trade by smuggling in logs from East Kalimantan.