【第1回エコツアー開催報告】

ウータン・ボルネオエコツアー 

【タンジュンハラパン村 初日】 

オランウータン遭遇、ウェルカムパーティ

 

いざボルネオへ!

 

クロトでは大人数がゆっくりとくつろげます。

 

ジャカルタで一泊した後、国内便でカリマンタン(ボルネオ島)へ。港町からクロトという観光客が使う大きなボートでゆっくりと村へ向かいます。ニッパヤシが生い茂る河口からはボルネオ島の風景が広がります。ボートには、現地NGO・FNPFのメンバーのアドゥさんや村の小学校の先生シティさん等が同行してくれました。

 

 

いきなりオランウータンが!

 

この距離でオランウータンが見れるのはすごい!

タンジュンハラパン村に到着・・しそうでしたが、村ではウェルカムパーティーの準備中らしく、エコツーリズムグループのリーダー・バナさんに追い返されてしまいました。待っている間に、幾人かの村人がこのツアーに合わせて政府の援助を受け、作ってくれたカヌーでやってきました。最初のアクティビティはカヌーです。待っていたその時、FNPFリーダーのバスキさんが慌ててやってきました。オランウータンが近くにいるというのです。そーっと森のほうへ歩いていくとそこには巨大なオスのオランウータンが!しかも先に着いた人から餌をもらっています。どうも以前保護し、野生に返したセミワイルドのオランウータンが、バナナの保管庫を探り当て来るようになったようです。野生のオランウータンはなかなか見る機会がないので、みんないきなりラッキーでした。ひとりひとり、バナナをあげました。

 

村人が考えてくれた伝統様式に沿ったウェルカムパーティ

 

さて、そうこうしているうちに、ウェルカムパーティの準備は整ったようです。見ると、村の岸辺にたくさんの村人が集まっています(一応幕をしているのですが、隙間から見えていました・・)。僕は、何度もこの村に訪れていますが、これほどたくさんの村人が集まった光景は見たことないのでびっくりしました。

   

ウェルカムパーティでは幕が下りるとともに、伝統的な打楽器による音楽が鳴り、一人の男性が剣を片手に木の周りを踊りながら周っています。何周かしたのちに、手にした剣で、その木をばっさりと切り落としました。これを合図に村へ入ることができ、村人もこちらへ歩いてきて歓迎の挨拶をしてくれたのでした。

 

ボルネオでのバースデーパーティ

 

この日の晩御飯はバナさんによる豪華な手作りディナーでした。初めての人には食事は心配の種ですが、とても美味しいとみんな大満足。そして、この日がちょうど誕生日のかっきー(+1月生まれのうさきち、いっしー)のためにサプライズでバースデーケーキが用意されていました!この村のバースデーケーキはとても変わっていて、ライスで作られています。見たことがないプレゼントとともにボルネオで誕生日を迎えることができました。ありがとうございました!

 

ウータン・ボルネオエコツアー

【タンジュンハラパン村 2日目】

アブラヤシプランテーション、アグロフォレストリー

 

アブラヤシプランテーションへ

 

 

 

ボルネオ島の熱帯林破壊。いま大きな問題となっているのがパームオイルです。広大な熱帯林がパームオイルを採るためのアブラヤシプランテーションへと変えられてしまいました。実は、タンジュンハラパン村も村の境界までプランテーションが作られ、村人の主張によると境界の中まで入ってきているということです。FNPFのメンバーと村人は、プランテーションと残された森の間の土地を少しずつ手に入れ、そこでアグロフォレストリーという樹木の間で農作物や家畜を育てる取り組みをしています。村の滞在二日目は、まずこのプランテーションとアグロフォレストリーを見学しに行きました。

 

パームオイルの問題にせまる

 

 

 

アブラヤシは多くの養分を吸収するため、長く植えると土地が干からびてしまいます。また用水路を引くことで土地の水分も失われます。農薬をたくさん使い、用水路から流れ出たものは川下のタンジュンハラパン村へも流れ着く可能性が高いのです。

 

初めて見るアブラヤシの実は少しグロテスク。みんな興味深々でした。しかし、実を見るのは初めてですが、その油はさまざまな場面で使っています。スナック菓子、インスタント麺、チョコレート、アイスなどの食用油や洗剤、化粧品など日常生活で手にするものにたくさん使われています。この油を採るために熱帯林が失われ、野生生物は絶滅の危機にあります。

 

しかし、それらは生活に欠かせないもの。またプランテーションで働いている人の生活の問題もあります。ツアーのみなさんは、自分たちにも関わるこの問題にどう対処したらいいのかを真剣に考えていました。土地を破壊ずにアブラヤシを栽培できないか。今あるプランテーションでまかなえるように品種改良をすべきではないか、など意見がでました。

 

「事前学習会でプランテーションの問題は知っていたが、実際に現場を見てみると環境破壊の実態がよりリアルに感じられた」という声もある参加者からいただきました。

 

村人の土地が破壊されていた!

 

プランテーションの隣で行っているアグロフォレストリーを見学しようとしたときにショッキングな光景が・・ なんとFNPFのメンバーで村人のハドランさんの買った土地の木が伐採されていたのです!

 

 

 

この土地はたしかにハドランさんのものらしいのですが、同時に政府が企業に伐採権も与えていたとのこと。なんとも納得がいきません。みんな呆然としてしまいました。

 

インドネシアの土地の権利問題は、昔からあり非常に複雑です。しかし、何百年、何千年と森の中で暮らしてきた先住民にとって、新しく来た政府が勝手に土地を取り上げ、彼らの生きるすべを奪うことは果たして正しいことなのでしょうか。

 

アグロフォレストリーの可能性

 

僕が3年ほど前に行ったときには、一軒の小屋と少しの農地しかありませんでしたが、今はチリやパパイヤを植えたり、牛を飼ったりしていました。FNPFのバスキさんは、ここで森林再生をするより、売ることのできる作物を作るほうが、村人も意欲的に取り組むだろうといいます。ウータンではこの土地にプランテーションの監視小屋、兼人々が集まれる小屋を建てる意見が出ています。日本政府からの支援とでも書いておけば、そう簡単に壊すことはできないでしょう・・ 今後の広がりが楽しみです。

 

ウータン・ボルネオエコツアー

【タンジュンハラパン村 2日目】 

キャンプリーキー

 

リバークルーズ・野生のオランウータンが!

 

プランテーションを見学した後、午後はオランウータンの保護施設であるキャンプリーキーにボートで向かいます。ここタンジュンプティン国立公園周辺は欧米からの観光客も多く、セコニャール川のリバークルーズはボルネオの旅の醍醐味といえます。テングザル、サイチョウ、時には野生のオランウータンや珍しい生き物を川沿いの木々に見つけることができます。

 

僕たちもラッキーなことに途中で野生のオランウータンに出会うことが出来ました。ただ、そのことにはラッキーと言えない要因もあり ます。プランテーションにより、森がどんどん小さくなると必然的に川沿いに残る森へと生き物は移動しなくてはなりません。ですから、野生のオランウータン が観れるということは森が無くなっていることを意味するのです。

      

晴 れの日のリバークルーズはとても気持ちがよく、途中に広い湖のようなところで景色をみながら村のエコツーリズム・リーダーのバナさんお手製のお弁当を食べ ました。この景色の少し向こう側にプランテーションが広がっていることには、普段の観光ではなかなか気づかない現実なのです。

 

ボルネオの特徴の一つは川の水の色です。赤褐色の水は汚れているわけではなく、掬ってみると澄んでいることがわかります。しかしながら、セコニャール川を進み、さらに奥へ行く川の分岐点であることに気づきます。二手に分かれた川の色が明らかに違うのです。森の奥のほうのキャンプリーキー周辺の川は澄んでいてきれいなのですが、タンジュンハラパン村の前を流れる下流は濁っているのです。その原因は、上流で行っているマイニング(砂金取り)にあるといいます。砂金を採るために土地を掘り起こす土が流れて濁ってしまったのだとか・・しかも砂金を採る際に使用する水銀は垂れ流されているので、下流に住む人々に健康被害を及ぼすリスクがあります。このツアーでは、訪れませんでしたが、マイニングも非常に大きな環境問題のひとつといえます。

 

オランウータンのリハビリテーション施設・キャンプリーキー

 

 

 

 

ボルネオには生き物だけでなく、たくさんの種類の木・植物があります。鉄木と呼ばれるウリンもボルネオ特有の種のひとつで非常に密度が高く、硬いので、建物やこの長い橋のようにさまざまな用途で使われます。周りには豊かな自然が広がり、オランウータンを森へ帰すことを目的としてキャンプリーキーは1971年にガルディカス博士により設立され、OFIというNGOに管理されています。

 

キャンプリーキーでは、親子のオランウータンの他、テナガザル、ヒゲイノシシなどさまざまな生き物にほぼ毎日出会えます。そのため、欧米からの観光客も多く見られます。マレーシアよりも緩く、オランウータンと写真も撮れます。

 

しかしながら、簡単に動物と触れ合えるこの場所が、よいのかはわかりません。なぜならリハビリテーションセンターの本来の目的は、動物を森に帰すことだからです。ここの動物はかなり飼いならされてしまっています。そこに野生生物の持つ力強さはありません。ツアー参加者の中にもキャンプリーキーに来るのは複雑だという感想を持った方もいます。

 

一方で、この施設にたくさんの観光客が訪れることが、観光収入となり、また注目を浴びることが違法伐採や開発から森を守っていることも考えられます。

 

また、仮にここで回復したオランウータンがいたとしても、帰る森がないと現地のNGOの人はいいます。オランウータンが帰っていく場所、その多くはプランテーションや違法伐採で無くなってしまったのです。

 

ウータン・ボルネオエコツアー

【タンジュンハラパン村 3日目】 

村の苗作りグループと植林

 

村の苗作りグループと植林
 

ボルネオでの違法伐採とウータンの取り組み

 

村での滞在3日目の朝は、村の苗作りグループと植林活動に行きました。

タンジュンハラパン村では、かつて貧しかった村人の一部が違法伐採に従事していました。

 

違法伐採とは「各国の法令に違反して行われる森林の伐採」のことで、ウータンでは昔から違法伐採の調査に取り組んできました。調査により、インドネシアの木材生産量のうち約70%が違法な伐採によるものだとわかっています。

 

ウー タンは、インドネシアのForest Watch Indonesia、Telapak、WALHI、WWF indonesia、KAIL等のNGOと共同で【やれば出来る!違法材停止ラミンキャンペーン】として、ラミンの輸入・使用の日本企業などに働きかけま した。その結果2007年4月、日本で使用量のなんと約95%に相当する企業がラミンの輸入・取扱いを停止したのです。

 

 

 

村人による原生種の苗作り

 

さ て話は戻り、現在タンジュンハラパン村の人々は、FNPFのサポートで苗作りを行っています。その苗は、森から拾ってきた原生種から作られます。ですの で、植林しても森の生態系を破壊することはありません。植林はいま人気があり、さまざまな団体がいろいろな場所で行っていますが、時々その土地にもともと 無かった外来種を植えることで却って生態系を破壊してしまうケースがあるので気をつけなくてはなりません。

 

そして、この苗 作りの本当の目的は、苗を植林などをしたいNGO、政府、学校、企業、個人などに売ることで副収入を得ることです(インドネシア政府も開発の一方、国の政 策として自然保護をあげており、植林などもしています)。なぜタンジュンハラパン村の人々がかつて違法伐採に従事していたかというと、それは貧しさゆえに よるものです。生活が向上すれば、そのような危険な行為もせずに済みます。ですので、この苗作りは、原生種で森を再生させるだけでなく、副収入による村人 の生活向上という一石二鳥のプログラムなのです。いまでは、村人20人ほどが苗作り組合を作り、毎日の苗作りと定期的に収入を振り分ける仕組みを作ってい ます。

 

苗床見学と植林

 

さ て、僕たちは苗床を見学し、実際にこの苗を村の苗作りグループと一緒に植えにいきました。鳥や虫の鳴き声やときおり遠くにギボン(テナガザル)の遠吠えも 聞こえる約4kmの森の道を苗を持って歩いていきます。雨季の森は、たくさんの水たまりがあり、足はびしょびしょ。なかなかハードな道のりです。

 

 

 

しかしながら、ツアー参加者からは、「雨季を満喫出来ました!ずぶ濡れになって、森の奥へみんなで進むのがとても楽しかったです。濡れや汚れをだんだん気にしなくなり、細かいことは気にしない、現地の方の大らかな心に近づけた気がしました。」という声も。

 

やっと目的地のブグルーに到着しました。タンジュンプティン国立公園内にあるこの場所は、かつて起こった山火事でかなりの面積の森が消失しました。いまこの場所からスンガイブルクチルという別の森まで3kmほど木を植え、森と森をつなぎ、緑の回廊を作ろうとしています。

 

村人が、一人ずつ丁寧に植え方を教えてくれました。

ツアー参加者からは「苗木の植林体験は貴重な体験でした。たとえ数本でも苗木を植えることで,現地の植林がどのようなモノかをイメージすることができました。苗木の販売を副収入とする仕組みも勉強できて,有意義でした。」というメッセージをいただきました。 

 

 

 

汗を流して、行った植林にツアーメンバーも大満足!最後にみんなで記念写真を撮りました。

 

 

 

今回のエコツアーの代金には、一人5本の苗代(今後の管理費込み)が含まれています。ウータンでも村人の苗を購入することで、彼らのプロジェクトをサポートしています。

 

中 央カリマンタンで活動するFNPFのメンバーは、バスキ以外は村人なのですが、彼らの多くはかつて違法伐採に従事していました。そのうちの一人であるハド ランさんはこう言いました。「俺もかつてはたくさんの木を切った。その時のことを思うととても恥ずかしい。だが、今はFNPFのメンバーとして植林をして いる。いつか自分が切った木よりもたくさんの木を森へ返すことが夢だ」

 

ウータン・森と生活を考える会ではこれからもその手助けをしていきたいと思います。

ウータン・ボルネオエコツアー

【タンジュンハラパン村 3日目】

子どもたちと環境教育

 

子どもたちと環境教育
 

タ ンジュンハラパン村では、2年ほど前からFNPFが学校の先生の協力のもと、一ヶ月に一度、村の子どもたちに環境教育を行っています。薬になる植物や植林 のための苗の勉強をしたり、森の中でクッキングをしたり、ネイチャーゲームのようなことをしたりします。また、バスキさんはFNPFのスタッフからアルバ インさんの才能を見出し、彼は現在、環境教育のリーダーとして活躍しています。

 

この日の午後は村の子どもたちと環境教育を行いました。本当は森で行う予定だったのですが、残念なことに雨が非常にきつかったので、村の入り口の屋根付き広場で行いました。

 

まず初めに、子どもたちが一人ずつ、(なんと日本語で!)挨拶をしてくれました。

 

 

最初は恥ずかしがりながら、でもみんなしっかりと挨拶をしました。

 

お返しに、日本からも一人ずつインドネシア語で挨拶をしました。

 

また、ツアー参加者の浅田さんが日本の伝統的な遊びである折り紙の披露をしてくれました。折り紙は、子どもに大人気でとても熱心に折り方を学んでいました。

 

今回の環境教育でよかったのは、ツアー参加者が「環境教育を見学させてもらうだけではなくて、こちらからも何か伝えよう!」ということで、日本から持ってきたゴミ袋を使って即席の環境教育をしたことです。バスキさんの通訳に子どもたちは興味を持って耳を傾けていました。

 

合唱あり、体を動かすアクティビティあり、対抗ゲームあり(内容はわかりませんでしたが・・)

みんなとにかく元気な子供たちで、こちらもたくさんの元気をもらえました。

 

ツアー後のアンケートで、ツアー参加者も事前に何か環境や日本についての授業や演奏会などを考えておいたらよかったという声が多くありました。次回はぜひ面白い企画を持っていきたいですね。

ウータン・ボルネオエコツアー

村でのアクティビティ、お土産屋さん、カルチャーボックス

 

アクティビティ

 

エ コツアーを企画していたころ、バスキさんから、村人がエコツアーのためのアクティビティを 考えており、ゆくゆくはこの村を訪れる観光客に参加してもらって収入源にしていきたいという考えを聞いていました。生活の向上は、環境問題とも密接に関係 しており、タンジュンハラパン村でもかつては貧しさゆえの違法伐採や狩猟を行っていました。隣村では、大規模アブラヤシプランテーションに村全体として従 事しており、川の上流には砂金採りをしている村もあります。どちらも利益と引き換えに森の減少や農薬というリスクを抱えているのです。

 

バスキさんが、この村でエコツーリズムを普及させようとしている大きな理由のひとつはそこにあります。ボルネオの自然を楽しみに訪れるツアー客に、村人が伝統工芸を教えたり、カヌーや伝統的スパを提供することで、副収入を

得ることができます。またツアー客へは、村人と交流することで、単に心地よいリバークルージング以上の経験を持ち帰ることができます。あるいはひょっとして、ボルネオで起こっている大規模な自然破壊を知ってもらい、考えてもらうことにつながるかもしれません。

 

さ て、アクティビティの内容ですが、ウェルカムパーティの前に村人が迎えに来てくれたカヌーがそのひとつ。2日目の晩には、船着場の近くに新しく建てられた 小屋に村のお母さんやお父さんが続々と集まり、アクセサリー作り、敷物作り、木彫りの人形づくりなどをしました。ツアー参加者は、村人の見よう見まねでそ れぞれの作品を作っていきます。小屋には熱気がこもり、わいわいと盛り上がりました。

 

 

お土産屋さん

 

エ コツーリズムと同じような理由で、タンジュンハラパン村では、2年ほど前に政府の援助を得て船着場にお土産屋さんを作りまし た。ここで売られている木彫りのオランウータンやサゴヤシやニッパヤシなどで編んだカバンやアクセサリーはすべて村人の手作りです。またTシャツは版画の ようなインドネシアの伝統的な道具を使い刷ったものです。これらの売り上げはそれを作った村人へ渡るようにバナさんが管理をしています。村があるセコ ニャール川はたくさんの欧米人が訪れる観光地でもあります。うまく理解のある観光客をひきつけ、お土産を買うことでの支援をしてもらえる仕組みを作ってい ければと思います。

 

 

カルチャーボックス

 

最 終日の夜に、ツアー参加者と村人で 「カルチャーボックス」をしました。「カルチャーボックス」は、それぞれの住む国や地域にある特徴的な「モノ」を見せ合って、お互いに当てるというプログ ラムです。コツとしては、身近に使っているもののほうがリアリティがあってよい。ですから日本の女子高生からすると伝統的な作法道具よりは携帯電話スト ラップのほうがあてはまっているのかもしれません。日本からはツアー前にメールなどで相談し「ジャパニーズボックス」に入れるグッズを持ち寄りました。そ れに対し、タンジュンハラパン村の人は「ボルネオボックス」を準備してくれているとのこと・・

 

日本からは・・鏡餅や、カイロや、海苔などを披露しました。

 

 

ボルネオボックスでは・・主にお米の収穫から保存に使う道具まで一式のミニチュアを揃えてくれていました(これは難しかった!)

 

 

互 いに箱から選んで、あれこれ考えて答えるのですが、なかなか当たりません!知っているほうからすれば想像もしない答えが返ってきて大爆笑。普段から当たり 前に使っているものも、違う国、違う文化へ行けば見知らぬものとなります。ボルネオボックスにあったお米の収穫道具や日本から持ってきた鏡餅などは人々の 暮らしと文化が密接につながっていて、なるほどと思いました。

 

なかなかの盛り上がりを見せたカルチャーボックスと共同でのアクティビティ。次回から定番のプログラムにしたいと思いました。

 

ウータン・ボルネオエコツアー

【タンジュンハラパン村 3日目】

 さよならパーティ、ホームステイ先とのお別れ

 

さよならパーティ、ホームステイ先とのお別れ 

 

  

 

村に滞在して3日目。あっという間に最終日になりました。最後の夜はエコツーリズムグループリーダーのバナさんが

 村人たちと企画してきた「さよならパーティー」をしてくれました。

 

村 の船着場のスペースで、たくさんの料理とともに、伝統的な踊りや歌を披露してもらいました。どこからともなく、村人がたくさん集まってきて異様な盛り上が り に・・僕も何年かこの村を訪れていますが、村にこんな伝統楽器があることも、村人が踊りをすることも知りませんでした!踊りを披露してくれた子どもたちに 混じっ て、最後は全員が踊りに参加しました。

 

このエコツアーを行う前に、バスキさんが、ツアーを通して村人がかつて民 族として引き継がれてきた伝統をもう一度掘り起こすことができればと言っていたことを思い出しました。このパーティやカルチャーボックス、伝統的スパなど のア クティビティが少なからずそういった契機となっていたらうれしいですね。

 

ホームステイ先とのお別れ

 

ホームステイ先の家族とともにお別れの時間を・・最初は言葉も通じず、一人で泊まることに戸惑っていたホームステイでしたが、それぞれの家族の手厚い歓迎もあり、参加者の多くがツアーで一番心に残ったことというメッセージをくれました。

 

ウータン・ボルネオエコツアー

【ボゴールでの滞在】

NGOメンバーとのディナー、NGO訪問、植物園

 

ボゴールNGOとのディナー

 

た くさんの思い出を作ったボルネオ・タンジュンハラパン村を離れ、ジャワ島のボゴールという街へ向かいます。ボゴールは首都ジャカルタから南へ60kmにあ り、割りとハイソサエティな人々が住む雨と植物園が有名な街です。ジャカルタから距離は近いものの、時には世界一といわれる大渋滞が待ち受けています。

 

今 回のツアーを企画するにあたり、参加者に体験してもらいたかったのは、ボルネオで起きている自然破壊の現状を知り、現地NGOや村人と共に交流や自然を守 る活動をすることの他にもうひとつ、インドネシアで活動しているさまざまなNGOのメンバーと交流してほしい、その活動を知ってもらいたいということでし た。NGO大国と呼ばれるインドネシアには、本当に優秀で素晴らしいNGOメンバーが多いのです。僕はインドネシアを訪れるようになってから、何度も彼ら に協力をしていただき、たくさんのことを教わり、時には息子のように優しくしてもらいました。今回のディナーの呼びかけに対しても忙しい中、大勢のNGO メンバーが集まってくれました。

 

 

ウータンと旧知の関係であるTelapakのハプソロさん、アルビさん、Wetlands International Indonesiaのニョマンさん、ヨヨさん、元BOSFのトグさん、エミリアさん、旦那のインプロンさんたちと会いました。 

 

 

「こ うして日本からたくさんのツアー参加者が来てくれてとてもうれしいです。ウータンとボゴールNGOは長年一緒に活動してきて成果をあげてきました。ぜひボ ゴールを楽しんでください。」かつて林業大臣の相談役も務めたトグさんの挨拶で、ディナーは始まりました。場所は、インドネシアの西スマトラの伝統料理で あるパダンレストラン。それぞれのお皿に料理を盛りつけられたものが、重なり合ってピラミッドのようでなかなかの迫力です!みなでわいわいと食事を楽しみ ました。豪華なメンバーですが、ここはインドネシア。みなフレンドリーで楽しむことを知っています。

 

「現地の活動などにつ いて話すことができて有意義でした。」「現地のNGOのメンバーはどなたも気さくで、素敵な方ばかりでした。」との声を参加者からもいただきました。僕も いままでの活動で出会ってきたたくさんのNGOのメンバーと日本からの参加者とこうして集まることができてとても感激しました。

 

 

インドネシアNGO訪問(Wetlands International Indonesia)

 

翌 日には、ディナーに参加してくれたWetlands International Indonesia(ウェットランド・インターナショナル・インドネシア)を訪問しました。ウェットランドは文字通り「湿地」ですが、生態学的も非常に重 要な湿地の環境問題を扱うこのNGOは、世界中にオフィスがあり、なかでもインドネシアは一番大きいオフィスを持つ重要拠点となっています。事務局長の ニョマンさんと植林担当のヨヨさんには、かつて日本に招聘して、講演をしていただいたことがあります。ニョマンさんには、熱帯林特有の泥炭湿地が温室効果 ガスを大量に含み、開発によって排出されること。また、開発の際に出来た運河から水が流れ出していくのを防ぎ(Canal Blocking)対策を講ずることで、問題を解決する方法などをお話いただきました。ヨヨさんには熱帯林の泥炭湿地やマングローブでの有効な植林につい てや、近年気候変動へのアプローチとして善悪ともに話題にあがっているREDD+(Reducing Emissions from Deforestation and Forest Degradation)-plus)に対してウェットランドが行っているプロジェクトの説明などをお話いただきました。

 

オ フィスにはそのような活動を示す膨大な資料がたくさんあり、それぞれの職員がそれぞれの持ち場で仕事をしています。あまり入る機会のないであろう海外の NGOオフィスに皆さん興味津々でした。日本で普段見かけない部屋として祈祷室があります。世界一のイスラム教人口を持つインドネシアならではですね。ヨ ヨさんからウェットランドの活動を紹介してもらったあとに、お茶とお菓子をいただきながら、ニョマンさんとヨヨさんにフリーで質問をしました。みなさん初 めはどんな質問をしたらいいかと戸惑っていましたが、だんだんと話は盛り上がってきて、最後のほうは、みな話し合いに熱を帯びていました。

 

「現 地の職員方と意見交換ができて有意義だった」、「みなさんの人柄がよかった」という感想をいただきました。また、「前もって質問を準備したり、インドネシ アでの取り組みについて学んだりしていれば、もっと素敵な時間になっただろう」という意見もありましたので、今後の事前学習会に生かしていければと思いま した。

 

ボゴール植物園

 

 

 

 

最終日、ボゴールでの朝の時間は植物園を散策しました。日本からボルネオ、ボゴールと精力的に過ごしてきたこのツアーの中で一番ほっとするひとときだったと 思います。ボゴール宮殿に併設されたボゴールの植物園はとにかく広く、世界のさまざまな植物や木を観ることができます。今回のツアー参加者のてらみん(寺 南さん)は大学院で植物の研究をしているということもあり、皆からの質問も受けながら、興味ある様子でまわっていました。

 

ボルネオの村から一転、アジアの都会を初めて廻る参加者もいたため、もっと街を歩いてみたかったという声も聞かれました。

 

【ツアーが終わって】

 

 さて、ツアーが終わった後も、参加者が例会へ参加してく ださったり、参加者同士の交流があったりと、ボルネオを通しての旅はまだまだ続いています。この先もみなさんがこのツアーで得た経験を生かしてくださり、時々はボルネオの森や村の生活のことを考えてくださるとうれしいです。

 

 

【ツアー参加者からのメッセージ】

 

・ホームステイ先での家族との交流は、今度は逆に日本に呼んであげたいぐらい、良くしていただけましたので、大変良かったです。

・現地の生活や文化、生活様式を知ることができた点が大変満足でした。

・都会育ちの私にとって、タンジュンハラパンは大切な故郷のような存在です!みんな優しくて、暖かくて、大好きです。

・さよならパーティーで村の方が踊ってくれたダンスが印象的でした。

 

 

 現地の村の人からも、またFNPFのメンバー、ボゴールのNGOメンバーからもとてもよかった、ぜひまた来てほしいとの声をいただきました。今後も2回目、3回目のツアーを通して、日本のみなさんにボルネオの自然と人々のすばらしさを伝えていければと思います。

 

 同時にボルネオの村の人々に対し、日本からたくさんの友人が来てともに植林をしたり交流することを通じて、こんなにも皆が村と自然を好きなんだということを伝え、そこから現地の人々自らの手によって自然が守られていくような世界にしていきたいです。そして、この村だけでなく、ボルネオの他の地域へも、そして世界中の森とそこで生活する人々へと広げていければと思います。

 

●第1回エコツアー(スタディツアー)●

木を植える人たちに出会う ~希望の苗作りプロジェクト~
2012年1月7日~13日【ボルネオ・エコツアー】
http://www.myticket.jp/hutan201201.html


赤道直下、オランウータンも棲む、豊かな熱帯林に覆われた野生生物の宝庫、ボルネオ島。近年、商業伐採や、ポテトチップスなどにも使われるパーム油の原料アブラヤシの大規模なプランテーション開発により、森がどんどん減っています。そんな中、苗を育て、木を植え、森を再生することを生業にしている人たちがいます。実は、彼らも7年ほど前までは商業伐採を行っていました。
 
インドネシアのNGO、FNPFのサポートのもと、彼らは、今まで当たり前にあった「森」について改めて考え、祖先から受け継いだ伝統と智恵をいかして、森と共に生きる道を選びました。そして、その思いを子どもたちへ受け継ぐため、毎月、村全体で環境教育を行っています。木を切る人から木を植える人へ、希望の苗作りをしている人たちに出会いませんか。

ご質問などは、issy@pure.ocn.ne.jp (石崎) にお気軽にどうぞ!

 

          エコツアーに参加しませんか!

 

 最初、スタディツアーも多く手がける旅行会社の友人から、タンジュンハラパン村でのスタディツアーに興味があるから、向こうでやる気があるかどうかを聞いてきて欲しいと頼まれた。村では、エコツアーグループも出来ているし、リーダーのバナは、エコロッジまで建てていたから(いまだ誰も泊まっていないが・・)、おそらくやる気はあるだろうと思い、早速その話をFNPFのバスキにしてみる。案の定、バスキは目を輝かせて、それはいい!実は、僕とバナで考えたプログラムが通って、7月ころに地方政府からエコツアーに対しての援助が99%の確立で入ってくる予定なんだと。たとえばライフジャケットを買うことなんかができる。で、どんなスタディツアーを考えているんだい?と聞いてきた。

 

僕はいままでのNGOの活動や、セミナーで学んだことからアイデアを出してみる。

 

 第一に、ここタンジュンプティン国立公園には、森林をはじめとする豊かな自然があり、野生生物がたくさんいる。リバークルーズで野生生物を眺めたり、キャンプリーキー(オランウータンのリハビリテーションセンター)へ行く。

 

 二番目に、この森林は、どんどん破壊されている。パームオイルプランテーション、砂金採取・・ 環境破壊の現場を見てもらい、またパームオイルと日本との関係などを説明する。

 

 三番目に、失われていく森林に対して、村の人々が行っている植林用の苗作りを紹介する。苗床を見学したり、一緒に植林をしよう。

 

 四番目に、FNPFが一ヶ月に一度村の子どもたちに対して環境教育を行っている。1年前に僕がマホとミエと訪れた時は、森の中でネイチャーゲームのようなことをしたり、木や苗について説明したりしていた。(これについてはウータン 号で紹介されている)。日本のお客さんは、子どもたちの環境教育に同行すればよろこぶだろう。

 

バスキは「それは素晴らしい。僕と同じ考えだ。バナと話し合いの場を設けるから話してくれと言った。

 

 夜、バスキとバナとスタディツアーの話をする。カヌーのプログラムを入れてもいいかもしれないな。夜には蛍や星を観にいこう。泊まるところはバナのロッジや、FNPFのボート、村人の家にホームステイ。もっとしっかりしたところがいいならRIMBAロッジなど。僕は、「できれば村に着いたときウエルカムパーティーなんかをして欲しいな」と提案した。バスキは、「それは面白い。この村は先住民族であるマライ族の家系が多いが、彼らは伝統的なしきたりや踊りなどをほとんど知らない。それを勉強するいい機会にもなる!」

 

話はとんとん拍子に進み、まず、バナがプログラムを考えて、僕にEメールで送ってくれということになった。こうなると、問題はスタディツアーの参加者が集まるかどうかにかかってきたのだが・・ 

 

 ちなみに、ここの村の入り口には政府の助成金を使って建てられた土産物屋があるが、その品物のほとんどは、村人手作りのものである。動物の彫り物から、ラタンという現地の植物で作ったカゴ、かつてのダヤク族、マライ族の使っていた剣や吹き矢などもある。また、伝統的な刷り方をしたオリジナルのTシャツもあるが、詳しくはウータン会報誌に載っているのでご参照ください。たまたま南アフリカから写真家の夫婦が来ていたので、「ここの品物は村の人の手作りで収入源となり、村の活性化につながります。」と説明すると、「それは良い」とオランウータンの彫り物を追加でひとつ買ってくれた。 

 

 よかったらみなさんもぜひ参加しませんか?とても人々の心の暖かい、心地のよい村です。豊かな自然とオランウータンなどの野生生物、プランテーションや砂金取りによって壊されていく自然、それに対して村で行っている植林の苗作りや子どもを連れての環境教育はきっと素晴らしい体験になると思います。